モルディブ政府は4月8日、リゾートホテル開発用にリースする島を、新たに23発表しました。これは、2023年までに35,000のベッド数を追加するという政府の戦略計画に沿った取り組みの一環です。
2021年2月時点で、モルディブには観光向けのベッド数はリゾートホテル、ゲストハウス、サファリ船などを含めて合計44,859を記録しています。新たに発表されたプロジェクトが実現すれば、これに5,000以上のベッド数が追加されることになります。
開発予定の島はどこ?
モルディブ観光局のサイトに一覧が掲載されています。
ナンバーが16までになっていますが、これは近くにある島をまとめてリースするためのようです。島の数としては23になります。
上の表を地図で表したものがHotelier Maldivesに掲載されていました。
この地図を見ると、今回リース予定の島はいずれも南北マーレ環礁から離れた場所にあることが分かります。
リゾートホテル開発の目的は?
モルディブでリゾートホテルを開発する目的はずばり、モルディブ人の雇用機会を促進し経済を刺激するためです。
モルディブでは観光業以外で主な産業といえば漁業のみ。観光業を盛んにすることで、それに付随する様々な産業が活性化し、恩恵を受けてきました。
モルディブ政府は「真珠の首飾り」と呼ばれる美しい自然を生かし、今後さらに観光客の受け入れ数を増やす考えです。
開発の問題点は?
新型コロナウイルスが流行する前は、確かに観光客は年々増えていました。しかし、ホテル数が増えるに従い競争が激しくなっていたのも事実で、コロナ前には既に価格競争が起きていました。
モルディブは資源に乏しく、ほとんどの物を輸入に頼っています。そのため基本的に物価が高く、宿泊費も高価に設定せざるを得ません。しかし価格競争が起こったことで収益性を損ね、リゾートホテルの運営が難しくなるケースも多いようです。
2020年は新型コロナウイルスにより、モルディブを訪れる観光客数は2019年と比較して63%減少しました。観光立国であるモルディブは、昨年3月末に国境をクローズしたものの7月15日に再オープン。PCR検査陰性証明書があればどの国からでも隔離なく入国可能ではありますが、やはりコロナ前のように戻るには数年かかると見られています。
その状況で新たにリゾートホテルを開発できるのか?というのは疑問があります。今年2月、モルディブ観光大臣は85件のリゾートプロジェクトが「未開発のまま」であることを明らかにしています。既にあるプロジェクトが進められていない状況で、新たな開発がスタートできるのかは懐疑的です。
まとめ
モルディブ政府は今後もリゾート開発を推進していく立場のようです。観光客の立場で見れば、宿泊先の選択肢が増えることは喜ばしいことではありますが、未だパンデミックの収束が見えない中、この舵取りが良いものであるのかどうかは分かりません。
早く日本からも行けるようになることを祈りつつ、引き続き見守りたいと思います。