新型コロナウイルスの感染状況が日々変化していくため、予定が変更されるのはよくあることですが…。
タイでは外国人観光客受け入れ再開の方針について、政府内でもまだ統一した見解はないようです。タイでの最近の動きを見ていきたいと思います。
- タイへの国際商業飛行禁止は無期限
- 観光協会「最悪の事態に備えなければならない」
- 観光大臣は10月からの外国人観光客受け入れを目指す
- 外国人観光客受け入れの具体的内容は?
- タイから帰国のマレーシア人が陽性
- まとめ
タイへの国際商業飛行禁止は無期限
タイ民間航空局は現在、タイへの国際商業飛行(民間機の国際線)を禁止しています。
8月12日には、局長が改めて「新型コロナウイルスの感染状況は多くの国で依然として深刻であるため、外国人旅行者がタイを訪れるための商業飛行の禁止は無期限である。」と発言しています。
ビジネス等での入国は一部許可していますが、外国人のタイへの入国は1日500人まで。
入国には多くの書類等が必要となり、またタイ到着後の14日間の隔離検疫費用は自己負担となっています。
観光協会「最悪の事態に備えなければならない」
タイは今年1月~3月には約670万人の外国人観光客が訪れましたが、4月~7月はゼロ。
8月からの再開を目指していた時期もありましたが、取り下げとなり未だ見通しは立っていません。
タイ観光協会会長は「新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く現状で、2020年中に外国人観光客を受け入れられない可能性がある。」として、観光業者に対し「2020年中のチャンスが無いことを認めなければならず、さらに2021年になっても外国人観光客が戻らないという最悪の事態を考えなければならない。」と語っています。
観光大臣は10月からの外国人観光客受け入れを目指す
2021年にも外国人観光客が戻らないかもしれないという見通しもある一方、タイ観光・スポーツ大臣は10月1日からの外国人観光客受け入れ再開について言及しています。
8月17日、タイ観光・スポーツ大臣は10月1日からの外国人観光客受け入れを目指して、タイ観光・スポーツ省、外務省、保健省、運輸省、内務省の5省が8月27日に協議を行うとを明らかにしました。
外国人観光客受け入れの具体的内容は?
内容はまだ提案段階ではあるものの、他国のCOVID-19低リスク地域からプーケットへの観光客を受け入れるというもの。
具体的には
・観光客はフライトの最大72時間前に受けたテストでCOVID-19陰性であること。
・到着時にCOVID-19テストを受けることに同意すること。
・COVID-19対応の医療保険に加入すること。
・14日間の隔離検疫は必要だが、その間に隔離施設(ホテルや別荘)だけでなく近くにある1~2kmのビーチエリアで過ごせること。
と報告されています。
タイでは数か月の間市中感染が報告されていませんが、経済が停滞したことにより自殺者・犯罪者ともに増えており、特に観光業に携わる人々の経済を立て直したいという思いがあるようです。
しかし、外国人観光客の受け入れにはCOVID-19状況管理センター(CCSA)の承認が必要になります。
CCSAは医療関係者から構成される組織であるため、医療を優先し国境を開くことを拒否する可能性も大きいと考えられます。
タイから帰国のマレーシア人が陽性
上に「数か月市中感染は報告されていない」と書きましたが、気になるニュースも。
2020年8月5日にタイからマレーシアに帰国したマレーシア人男性(46歳)が、新型コロナウイルスに感染していることが明らかになりました。マレーシア人男性は無症状で、1度目の検査では陰性でしたが、2度目の検査で陽性が確認されました。
帰国10日後の検査で陽性となっていることからマレーシア国内で感染した可能性もありますが、帰国後の隔離期間中でもあるためタイで感染していた可能性も否定できない、という状況ですね。
ちなみに、8月1日にタイから日本へ入国したタイ人男性、8月8日にタイから日本へ帰国した日本人男性も陽性でしたが、2度目の検査で陰性となったそうです。
まとめ
タイの観光業界としては経済のため外国人観光客の受け入れを再開したい気持ちがある一方、せっかく封じ込めに成功しているのに再開したら感染が再拡大してしまうという恐怖があり、なかなか方針が決定しない印象を受けます。
まずはプーケットから、規制の多い状況での再開を目指していますが、提案内容を見た限りでは「リゾートで2週間以上長期滞在できる、お金を持った外国人」以外に恩恵はないように思います。
以前のモルディブの「観光業再開ガイドライン(案)」に似た感じですね。モルディブは結局、経済優先で厳しい規制を撤回しましたが、タイは現在のところ経済優先ではないのでどうでしょうか…。
タイは日本人観光客も多く訪れる場所ですし、COVID-19対策に「成功している」タイが観光業再開への見通しを上手くできるようになれば、周辺国にとってもメリットなのかな、と考えています。
しかし、現状ではまだまだ試行錯誤は続きそうですね。